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2007年3月29日

●"ザ・シェフリンク"第16弾!大胆にして優美!芦屋「愛漣」出身シェフのノーブレスチャイニーズ~鯉川筋「広東料理・順徳」

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う、美しすぎるこの一皿!この輝き、きらめき、ひらめき、ときめき!ここはどこ?これはなに?わたしはだれ?
ってなにトボケてるんですか!
ワタクシは今、トアウエストに位置します広東料理「順徳」にお伺いしております。
上の素晴らしい一品。かの「あまから手帖」で中華の20人に選ばれた「順徳」は鄧さんのお料理。
先回お伺いいたしました広東料理「天天」の「中華の鉄人」唐さんがこのお店をご推薦。

ということで「ザ・シェフリンク」第16番目のお店は、鯉川筋に店を構えて23年。広東料理「順徳」!!

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ではさっそくご紹介いたします。広東料理「順徳」のオーナーシェフ鄧錫華さんです。
ごらんの通り鄧さん、スマートでジェントルな生粋の神戸っ子!柔らかな物言いとさりげない気配り。本物の神戸紳士です。初めてお会いしたのになにかとても懐かしい感じ・・・。

実は「天天」の唐さん。鄧さんのお名前を、丁阝(←これをあわせて1つにした文字)さんと教えてくださっていました。でもそれは中国の簡体文字で、正確には「鄧さん」。ほぉ~変換できる漢字でよかった(^O^)
おっ!鄧さんの手には端正な前菜を盛り付けた有田焼のお皿が・・・。

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「什錦冷盤 前菜盛り合わせ」。これは2人分。
実は日本料理がお好きという鄧さん。このさり気なく見える10品の前菜は、まるで懐石料理を思わせる非常に手の込んだ品々なのです。

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まずは、海老マヨ・・・・・では!ございません。
マンゴーをすりつぶしたソースです。しかしマンゴーをすりつぶしただけではソースが液体状になって流れてしまうためサラダ油を入れて乳化させ、レモンで風味を添えてあります。
大正海老が甘くってほのかにいい香り~(^O^)

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迷わず箸が伸びるのはワタクシの大好物のピータン。こちらのピータンは古典的なシッカリとしたタイプ。独特の香りもほのかに残してあります。

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スモークした牛タン。冷たい舌触りと歯応えが芳ばしいケムリの香りを引き立てています。この三品だけでもまったく異なった味と香りの世界を楽しませていただいておりますわ。

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さらに甘辛く煮た鯛の子をサクッとしたフライに。鯛の子は11月から3月いっぱいまでのメニュー。つまりこの一皿は季節に応じて品が変わるわけです。

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そしてこれ。お客さんによく「これなんですか?」と尋ねられる料理の一つだそうです。
私も訊かなければキノコの一種か貝の一種か???と思いながら食べていたことでしょう。「すなずり」です。
ホロホロになるまで「すなずり」を湯がいて、甘辛く煮ふくめています。「すなずり」特有のギリギリッと音のする歯ざわりではなく・・・こんなのは初めてですがアワビのような感じです。手間隙かかってます!

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イタヤ貝」の梅肉ソース。梅肉を中華風にアレンジすると香ばしくって美味し~い。

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焼豚。脂身が少なくってあっさり上品。

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ズワイガニのむき身です。すった土生姜と、酢とゴマ油。意外と合うものなんですね。これは新発見でした。

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「醤油鶏」。紹興酒と醤油、砂糖や生姜と一緒に、水やスープは一滴も使わずに豚の背脂でコクを出した一品です。小気味よい歯応えと、噛めば噛むほどぽっと飛び出してくる鶏の旨味がいいですね!

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最後にクラゲ。ここのはプリプリでもツルツルでもなくザラッとしてコリコリ。「ザ・リッツカールトン大阪」の「香桃」で食べたクラゲに似ています。クラゲの種類が違うのか・・・はたまた部位が違うのかいまだ勉強不足です(><)

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これはクルクルまわる中華の円卓。鯉と蓮をかたどった螺鈿の、精緻な細工に思わず見とれてしまいました。

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ライトも控えめな間接照明がメイン。中華らしくないとも言えますが・・・・このお店を始められたいきさつを鄧さんからお聴きすることが出来ました。

鄧さんはお若い頃、あの芦屋マダム御用達の高級スーパー「イカリスーパー」で中華惣菜のチーフをしておられました。
その「イカリスーパー」が初の中華レストランを出すことになり、会議で「愛漣」という名前に決定するところから鄧さんは関わっておられたそうです。
すると、なんと社長が!
「鄧くん、君が愛漣のチーフをやらないかい?ただし、長い行列のできる店にしてくれ。でないと、クビだ。断るのなら今のうちだよ」
ひぇーー!!こんな挑戦、受けて立つか!?受けたんですね、鄧さんは。男です!
しかも、門戸厄神の第1号店。長~い行列、できました!芦屋店、六甲店、苦楽園店・・・・店は増えていきます。
「鄧くん、全体を統括するチーフをやってくれないか」
鄧さんは自分の力を充分試すことが出来たので、念願の自分の店を持ちたいとイカリスーパーを退社。広東料理「順徳」を今の場所にオープンさせました。23年も前の話です。

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イカリスーパー」時代に、「吉兆」をはじめ最高級の割烹料理を社長にご馳走になったそうです。その中から鄧さんは多くの高級な食材の味を学び取っていったわけですが、この「炒三鮮 海鮮三種炒め」なんかその結果生まれた料理じゃないでしょうか?

まず、灰色がかった帆立貝に見えるものは前菜にもありました「イタヤ貝」です。昔は寿司ネタにも使われた貝ですが今では値が張るために大抵ホタテで代用されています。しかし鄧さん、さりげなく「イタヤ貝」を使っています。

海鮮三種炒めの入った籠。よく春雨と間違えられるそうですが、糸切りにしたじゃが芋のフライです。
普通野菜炒めをすると野菜の水が出てきて、こんな風に盛っても雫が垂れちゃいますよね。でも鄧さんが一瞬の強火で炒めると、あ~ら不思議。水分、出ませ~ん。他の人がやると、籠が湿気てしまうそうです。

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さあ!鄧さん自らの手で!メリメリメリメリ・・・・。かごが崩されてゆきます。メリメリメリ~~。フライドポテトの籠は、湿気ていません!おみごと!!

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こうやってお皿全体に広がったところもまたゴージャスでいいですね。

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イタヤ貝」の上にヒラタケ、人参、葱、芝海老。
ホタテはいくら加熱しても柔らかいのですが、「イタヤ貝」は少しでも加熱しすぎるとゴムのようになってしまいます。そこでこれはわざと半生。綺麗な海水に浸かって生きた状態で買ってくるので、下味をつけなくても充分美味しい・・・うゎぉーー!ほんとだ。これは口の中で思い描いていた理想のホタテの味がします。つまりホタテより濃いホタテの味!歯応えもほどよくある。「イタヤ貝」かぁ~美味しいな~。
それに、なに!?このサックサクのフライドポテト。香ばしいこと。これはヤバイ!

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松かさに切られたモンゴウイカ。表面ぬるぬるしてるのに切れ目が入っているのでよく噛めて、磯の香り抜群です。その合間にフライドポテトがパリパリ、パリパリ・・・・ああ~~!もうどうしましょう。さらに超強火で炒められた具材の炎の香りといったら!
もしこれを誰かと二人で食べていたら、最初に境界線を決めておかなきゃ取り合いになるわよ!絶対!

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最後に「葱油麺 ネギ汁ソバ」の小さいほう。
この葱ソバはグルメ雑誌のレストランで食べるラーメン特集、堂々1位に選ばれたもの。
ひね鶏と干し海老、干し貝柱を沸騰させないようにじっくり煮込んで作った黄金のスープ。ラーメン屋さんも鄧さんにレシピを尋ねに来たそうですが、他の人がレシピどおりに作っても美味しく作れないとあきらめてしまったといういわく付きのもの。

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油で炒めた白ネギの芳ばしさ。この深い味わいのスープで、ここのコース料理を締めくくることが出来ればハッピーだろうな~。

ところで鄧さんが特におすすめの美味しいお店はどちらですか?
「創作日本料理の吉膳。あそこは開店当初からボクは応援してるんですよ。マダムは謝さんって言います。華僑ですけれども日本料理のことすごく勉強していて、お料理も凝っています」

ということで次のワタクシのミッションは→→→懐石・割烹の「吉膳

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「あんたも、ガンバッテや~」
と言いながら、鄧さんは急な階段を私と一緒に降りてきて扉を空けて最後までニコニコと見送ってくださいました。
なんだか、とっても温かくて優しくてワタクシ春の小雨の街角でホンワカしちゃいました~(^^)

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順徳
神戸市中央区北長狭通3丁目4-7
TEL 078(331)5320
営業時間 11:30~14:30
       17:00~20:30
定休日 月曜日

みんなこれを目指してお昼に大挙して店に押し寄せます。→サービスランチ
他のメニュー。→海鮮料理肉料理スープ・豆腐・野菜・飲茶点心麺・飯コース料理お酒・飲料

什錦冷盤 前菜盛り合わせ・・・・・1人1,500円前後(時価)
炒三鮮 海鮮三種炒め・・・・・・・・2,000円
葱油麺 ネギ汁ソバ(小)・・・・・・・520円 

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コメント

もう、圧巻!圧巻でございますわよ早坂様!
ワタクシもこのかごは何かのヌードルかと思いましたの。
そしたらじゃがいもだなんて!
カリッ!と揚げたじゃがいもに、
野菜炒めがとろーんと絡みつくなんてヘヴンですわね♪

また麺に誘われて来てしまいました(笑)
と思ったら、あの籠は芋のフライなんですね~。
ポテチみたいな味なのかな。。

イタヤ貝・・・食べたことない。築地で探してみよっと!
右手に箸、左手にカメラ!、これ難しいんですよねぇ~。
お料理も早坂様の撮影テクも素敵なので、酔っ払って
記事を見てたら液晶画面ごと食べたくなりますわぁ♪

ところで「アイレン」で思い出しましたが、中国語の
「愛人(アイレン)」は「奥さん」の意味なんですよね。

1枚目の写真、ほとんどジュエリーの輝きです!!げーじゅつだぁ。

☆華麗叫子ひめ

叫子ひめもヌードルかとお思いになりまして?ワタクシもなんですよ。
もし食べる前に鄧さんが・・・
「よく春雨と間違えられるんですけれどもこれは細切りにしたじゃが芋なんです」
とおっしゃらなければ・・・まあ~なんて芳ばしいまるでポテトをフライにしたみたいなお味の春雨~♪な~~んて思っちゃいましてよ(><)

これはポテトチップスの芳ばしさが、麺状のギザギザによって拡大され、作りたてのフライドポテトの新鮮さをツギャザーさせたようなお味でしたの。そこにとろ~りお野菜。きゃーーーー(^O^)

☆くにさん

くにさんこれはじゃが芋の麺だと思っていただいてもいいですわよ。だって形は麺ですもの。
ポテチをさらに美味しくさせたような!パリッパリでもう食べだしたらとまりましぇ~ん(’◇’)

☆つきじろうさん

イタヤ貝、私もはじめて知りました。
記事内リンクしたサイトでは、暖流に住む貝であまり獲れないとありました。ただ何年かに一度、大漁の年があるそうです。ホタテをさらに美味しくした味ですよ!!

ありゃ、つきじろうさんの20インチのパソコンが朝起きたらかじられて17インチになってたなんて(><)

アイレンで奥さんですか~。ヒャッいいですね♪
この「愛漣」。当時「陳愛漣」(←苗字違ってるかもしれませんが・・・)っていう歌手か踊り子さんがいてそこから取った名前なんだそうです。

☆バンビとヒメの姐さん

ホントだ。げーじゅつだぁーー!げーじゅつは、バクハツだ!って昔、岡本太郎さんが言っておられましたが・・・これを食べたらワタクシ、バクハツしちゃいましたー!

まあなんと懐かしいお料理でしょう。相変わらず美味しそうな事♪
ここは海鮮三種炒めを目当てにいってましたよ。ちょっと疑問が、23年前から営業しているとか、わたくしもっと前から知っているのでございますが。。。経営者が変ったの?
その昔順徳のお向いにグーニーがあったんですよ。小さなお店だったけどおいしくってね。いまはすっかり北野になじんでるわね。古~い話しです。

籠いいですね、じゃがいもみたいで。
えっ?みたいじゃなくじゃがいも?

それにしてもサービスランチ、安いですね!

☆あんこさん

あんこさん、お馴染みさんだったんですね(^O^)へっ!?ということは経営者が代ったんでしょうか?鄧さんは確かに23年前にここでお店を持ったと言っておられました。
オドロキとどろき~!北野坂のフレンチ「グーニー」!ここにあったんですか~。今は・・・何のお店もないですね・・・お向かい。

やはりここの海鮮三種炒めファンって多いんでしょうね~。だって美味しいすぎまするー(><)

☆ロレンスさん

じゃがいもじゃがかごじゃがじゃがです(^O^)

サービスランチ、一番上のラーメンセットにチャーシュー入っていますの。もうお昼はみんなでダッシュですわ!

店員さんがバリッと割ってくれる海鮮三種炒のカゴはポテトだったんですか、なんかビックリ。そしてホタテだと思っていた貝はイタヤ貝だとは、こりゃまたビックリです。
ちなみに僕は紹興酒に粗目砂糖を少々入れて海鮮三種炒めやシュウマイを肴にグビグビ呑むのが好きです。最後は焼き飯とチャーシューメンなんかで〆て、ごちそう様。
そしてフラフラフラと元町界隈を歩いて宿に、たどり着くのが最近のお気に入り。

アッごめんあそばせ、早坂様。はじめましてなのに馴れ馴れしくて。

☆おいやん和歌山さん

はじめまして~。
>最後は焼き飯とチャーシューメンなんかで〆て
って、焼き飯かチャーシューメンではなくて、焼き飯とチャーシューメンなんですね!!そりゃフラフラに・・・・。
先日こちら再訪いたしまして、海鮮汁そばいただきましたが!!!絶句するほどの絶品!
隣の席でも、ご家族ずれのお父様が「汁、うまいな~~」といつまでもレンゲですくって飲んでおられました。
ぜひ〆は焼き飯と、海鮮汁そばで!

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