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2006年6月 7日

●「コスポリ」知らなきゃ神戸っ子じゃないザマス

「今帰ったよ、スウィートハート。今日は君にコスモポリタンのチョコレート買ってきたんだ。ホラ、これ、君のお気に入りだろ?」

もしあなたのダーリンが会社から帰るなりこう言ったとしたらどうしますか?

反応A:「あなた!大丈夫?ちょっと誰か体温計持ってきて!お父さんが変なのよ。まあ大変、救急車呼んで、救急車!!」と慌てる。
反応B:「今日はどんな失敗やらかしたの!さあ白状しなさい」と腰に手を当てて目を三角にする。

ノン、ノン、ノン、マダーム。(このセリフ、名探偵ポワロの口調でノーブルに言いませう)

愛するダーリンからのプレゼントなんだから、ここは素直に信じてあげましょう。なんてったって、これ知らなきゃ神戸っ子とは言えないくらい有名な、あの「コスポリ」のチョコレート買ってきてくれたんですから。

マイパパによると、昔は旧居留地にお勤めのお父さんたちがトア・ロードを通って北野や熊内や青谷の山手の我が家に帰る途中、愛する奥さんのためにモロゾフ親子の店でチョコレートを買って帰ったものだった(語り:田口トモロヲ風に)、とのこと。ロシア革命を逃れて神戸にやってきたモロゾフ一族がチョコレート店をトア・ロードに開いた1926年頃のお話です(だからマイパパだってもちろん聞きかじり)。

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さて、そんな長い歴史のある「コスモポリタン」は神戸マダムたちの社交場でもあります。私が訪れたこの日もほとんど満席。みんなおしゃべりに夢中。一人でやって来るマダムもいます。パフェを食べて読書をして・・・。

あ、岸恵子似のご婦人が一人、入ってきました。上品な笑みを浮かべ運ばれてきたコーヒーにクリームを注いでいます。実に美味しそうにケーキをホンの少し、すくって口に運ぶ・・・。あ~ん、なあんてノーブルぅ!よし!ワタクシも・・・・あの方のようにノーブルに、まずケーキをちょっと一口、お次はコーヒーを・・。んんん・・・、何だか違う。もうぜ~んぜん負けたかも。上品さの年季が違うザマス。

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私の食べたのは「コスモポリタンティータイム」。上の写真の左がミニサンデー。キャラメルソースとナッツのかかったアイスクリームにたっぷりの生クリーム。右はあっつあつのほうれん草とハムのプチキッシュ。熱いものはあくまでも熱く、冷たいものはあくまでも冷たく。行き届いてますねー。

そして真ん中のチョコレートケーキが、あー、も~~ん、ちょっとおいしすぎー。だってチョコレートの味が普通のケーキ屋さんとはぜんぜん違うんですもの。そりゃ、チョコレート屋さんなんだから仕方ございませんわ。コーヒーはもちろんビターなヨーロピアンタイプ。甘い物にはこれでなきゃね!

さて、店の中はこんな感じです。

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まず目に飛び込んでくるのはモロゾフ家の紋章。めちゃくちゃカッコいいです。そして創業当時からのセピア色の写真。
まずここで、「お一人様ですかー」と声をかけられます。振り向くとそこには、にこやかで明るいブルネットのご婦人。奥の席に案内してくださいます。
以前は銀髪の気品に満ちた老婦人が彼女の立ち位置におられたので気になって尋ねてみると、アメリカでご健在とのこと。ちょっと心配していたので、これで安堵。

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天井にはまあるいライトがいーっぱい。なんだか昔の宝塚歌劇の大劇場入口と雰囲気、似ています。甘ーい甘ーい気分になってきます。流れている曲はロマノフ王朝時代の軽快な協奏曲。

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あーー、ものすごい誘惑でしょ。天井のまあるいライトが映り込んじゃってますけど、見えますか。もしガラスがなければ、悪気なくても無意識に手を伸ばして食べちゃいそうですよ。キャンディーも含めて数え切れないほど種類があります。

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これがバレンタイン・エフ・モロゾフ氏のサインと店のマークです。建物の壁に掲げられています。

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そして今回私の買ってきたチョコレートの箱。「1926」が輝いています。ロシア革命が1917年。モロゾフ一族が神戸に亡命してこられたのが1920年。その6年後ですね。父と15歳の息子とで手作りチョコレートの店を開いたのは。チョコレートを知らない日本人に店の前でチョコレートを配ったそうです。異国での苦労がしのばれます。

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私がいつも買うのはこれ、「オーキーズ」。子供の頃は薄茶色のミルクが一番好きだったけれど今はブラックが好きですね。なんたってもう大人ですから!(ってわざわざ威張ってどうすんの)

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中に入っているリーフレットです。左のセピア色の写真が1926年、オープンしたてのトア・ロード店。右は今のマスター・チョコレ-ター、バレンタイン・モロゾフ氏。
では最後に、氏のあいさつ文の一部をがんばって訳して見ます。

「もしどんな状況や時代においても常に最高のお菓子を作り続けるならば必ず皆様に喜んでいただける。そう、私たちは長年信じ続けてまいりました」

私も全く同感です!

今日は神戸貴婦人の社交場「コスモポリタン」からのレポートでした。

早坂   

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追記:ロマノフ王朝の残り香「コスポリ」こと「コスモポリタン」。このワタクシのレポートのあと、廃業となりました。80年の歴史。重いです。→ニュース

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コメント

すごい なんとゆうか神戸てかんじですね
おしゃれ 超えて セレブ
たいした事言えずすいません

そうなんです。かなりセレブです。でもあの日、私あの店のマダムたちからはかなり浮いてたはずです。ジーンズはいてたし。一眼レフのデジカメ持ってたし。でもそんなの気にしな~い気にしな~い。

オーナーのブルネットのご婦人は、そんなこととは関係なくにこやかで親切ですよ。

う・う・う~~~(涙)
コスモポリタン オーキーズこそ
私にとって「神戸の味」そのもの!

早坂さんのセンス、素晴らしいです☆

学生時代、バイト代が入ると友達と
贅沢をしにコスモポリタンへ出かけた
ものです!

そう!ほんと“贅沢をしに”って感じでしたよね。ソファーなんかも体がフワ~ンって沈み込んじゃうようだし。

ところで、COCOさんの頃のオーキーズの箱って今みたいなオレンジ色じゃなくて白地に世界の民族衣装を着た人形のイラストがぐるっと手をつないでいるものじゃありませんでしたか?あれが可愛くって好きだったんですが・・・今はあれじゃないんです・・・。

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