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2006年6月13日

●二つの「自由軒」?

「自由軒のライスカレーはご飯にあんじょうまむしてあるよって、うまい」

大阪庶民の生活をイキイキと描いた小説家織田作之助は代表作の「夫婦善哉」のなかで登場人物にそんなことを言わせています。自身も毎日大阪は難波の千日前「自由軒」に通ってその名物カレーを食していたとか。

でも、今、なぜかほんまものを名乗る「自由軒」が二つ。

今日はその二つの「自由軒」、私による勝手な味くらべです。(しかも片方は冷凍パックで・・・)ほとんどの写真がターメリック色ですので、ご覚悟のほどを!!

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やってまいりました。難波は千日前の「自由軒」本店。あの織田作も通ったお店です。

最近こういう感じに壁全面に食品サンプルを掲げたお店、徐々に姿を消しつつありますね。そのガラスケースの堂々ど真ん中、鎮座ましましておられますのが「自由軒 名物カレー」。

ところで、食品サンプルって世界に誇る日本の文化だと思いません?だってよその国にはありませんもの。こんなの。そしてちょっと気になる右下の駐輪禁止の赤い文字。「こんなとこに自転車止めたら大事な食品サンプル見えへんやろが!」という意味でしょうか?・・・・あ、と話それました。

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さあ、出てまいりました「名物カレー」。この店は明治43年、1910年の創業です。当時は当然炊飯器などないわけですからご飯を炊いても保温出来ません。カレーライスを出したくても、ご飯が冷えてしまってたりしますでしょ?そこで店のご主人の考えたのがこのカレー。注文に応じてカレーのルーをフライパンに入れ、そこにご飯を入れてかき混ぜる。アッツアッツをお客さまにお出しすることが出来ます。加えて、「ご飯にあんじょうまむしてあるよって、うまい」ということになるのです。
玉子は当時の貴重品。そこに、これまた当時の貴重品ウスターソースをかけて食べます。

明治の気分でいただきまーす。とろ~り美味しいです。とっても素朴な味です。変わったスパイスも使っていませんし、特別上等な牛肉を使っているようにも見受けられません。この食べ方がいいですね。まさに庶民の味です。

子供のころおせっかいなおばさんとカレーを食べると、勝手に私のカレーのルーとご飯をかき混ぜて「はい召し上がれ」なんてニコニコ顔をのぞき込んでくれたりしましたが、ちょっとそれを思い出しました。



さて、千日前(難波)の自由軒に対するは「せんば自由軒」の登場です。こちらはお店には行ったことがなくて、そこの冷凍パックで味わってみました。

これ、パックの袋に描いてあるカレーのイラスト!

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これが袋と中身の冷凍パック!

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2人分入っています。凍っちゃってますがが薄いので10分もすれば溶けます。「せんば自由軒」の文字の下、小さくてごめんなさい(写真クリックしてみてください)「明治43年以来の伝統の味」と書いてあります。最初の「自由軒」も明治43年創業。こっちの「せんば自由軒」も、そう。これは面白いことになってまいりましたわね。

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さて、作ります。正確に味を確かめるため、レシピどおりご飯の量もゲンミツに、ゲンミツに。2人分で500グラム。やった、ピッタリン。

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ルーを入れ温め、そしてご飯を入れる。やだ、ご飯さきに入れちゃった。ま、いっか。(←どこがゲンミツだ!)

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これはあくまで「混ぜカレー」。決してドライカレーではありません。というか、炒めすぎてドライカレーにしてしまってはいけません。汁けが残っているくらいで火を止めてお皿に・・・・。

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真ん中をくぼませて生玉子をポチョン。う、美しい・・・。自分で作ったとは思えない・・。

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タラリーー。ウスターソースをスプーンで2杯か3杯。

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ドボチョン。破壊開始!

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グチャグチャベチャベチャ。なんか面白いね

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グッチュグッチュッグチャグッチャ。なぜだろう、楽しーーーい気分になってきた。

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わー、もう一息だ。

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でーきた!えー、では早速いっただきまーす。んーーおいしいよー。辛いよー。

結論から言えば、どちらもほとんど同じ味です。しかし「せんば自由軒」のほうがパンチの効いた印象に残る味で、一般受けするかもしれません。一方、難波の「自由軒」はもっと素朴でコテコテの大阪らしさを感じさせました。

ところでこの二つの「自由軒」。実はご兄弟が別々にやっておられるんです。しかも経営方針が180度違います。最初の難波の「自由軒」は「伝統、秘伝の味、織田作」を守って細々とやっておられる。一方弟さんにのれん分けされた「せんば自由軒」はフランチャイズ化と通販で大々的にビジネスを展開しておられるわけです。
まあどっちも自由軒だし、どっちもそれぞれ美味しいというのが私の結論でした。

みなさんも一度この二つの「自由軒」、食べくらべて見られるのもご一興かと存じます。

早坂

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コメント

ども~♪早坂様の過去記事を読み進んでおります☆
やはり「自由軒」のカレーも見逃せませんね!じつは私も同じ昨年の
3月と5月に、このあたりの比較を記事にしてまして・・・
旧ホームページのほうなんですが。
http://homepage2.nifty.com/tsukijigo/3curry.htm
難波のお店、メニューには“名物カレー”と書かれていますが
注文すると「インデアンいっちょー」とオバチャンが厨房にコール
なさいますね。個人的には船場のお店より難波のほうが
下町らしいB級感、おおざっぱな手作り感、庶民派の
オバチャン軍団!、などで好感が持てました(笑)

☆tsukijigoさん

>ども~♪早坂様の過去記事を読み進んでおります☆

ありがと・・・ん?tsukijigoさんも、ものずきな方ですね~~~。

でも、似たような時期に似たような疑問を抱いて同じテーマで記事を書いていたなんて!おもしろいものですね。

私は難波のお店のほうを先に知っていて、何で最近、自由軒自由軒ってフランチャイズされたお店のアルバイトの男の子がビラ配りしているんだろう???

でたまたま、手に入れた自由軒の冷凍カレー。でも良く見ると、あれ?ということでしたの。

私は難波の自由軒の、髪の毛を大きく結い上げた色の白い口紅真っ赤なオバちゃんのファンです(^◇^)tsukijigoさんはご存知?

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