企画モノのつらさ、月の雫

 今日は、大手のレストラン企画会社のプロデュースした、月の雫という店で晩ゴハンを食べてきました。

 ちょっと昼が脂っこいものだったから、和食がいいな、ということになったんだけど、適当なところがなかなか思い浮かばずちょっと三宮のセンター街をウロウロ・・・・・。

 初めて入った店が、思いっきり!まずかったりしてもイヤだし。

 かといって、一軒ずつアンテナ張り巡らせて店を吟味して歩くのも、疲れるし、面倒だし。

 こういう時、月の雫のようなチェーン店は、初めてでも入りやすいんですよね。

 なぜなら、少なくとも、“思いっきりまずい”ということはないはずと思うから。

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 で、食べてみた結論です。ええ、美味しかったデスヨっていうか・・・・・・。

 上のは“えびとクリームチーズの生春巻き”って一品だけど、長芋ときゅうりの短冊が入ってます。クリームチーズのコクと塩味が、長芋の冷たくしゃりしゃり、そしてネバッとしたその食感に、こんな合うとは、新発見でした。

 そしてお次は“豆腐と海老のコロッケ”。豆腐で作ったクリームコロッケです。普通のクリームコロッケは大量の溶かしバターに小麦粉を入れて練り、温めた牛乳を加えてさらに練る、言わばこってりしたものです。

 でも、これは、豆腐を練って入れているので、胸焼けしませーん。

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 さらにさらに・・・・“桜姫鶏ももねぎ串焼き”。ようは“ねぎま”です、ね。

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 でもね、実を言えば・・・私このあたりでかなり食事に退屈し始めてたわけで・・・。

 料理は、マズくない。

 でもー、ただー、そこから、なぁ~~~~んにも、伝わって来るものがないんです。

 

 “ねぎま”といえば、昔、広島で、友人のアメリカ人に夫婦揃って連れて行ったもらったこんな店がありました。

 中に入るとちょっと大きすぎるくらいの古い囲炉裏が店の中央にデーン!と見えて、で、いきなりコワモテ風の店の兄ちゃんたちが、客の間をのし歩き回りながらいっせいに、「らっしゃーい!!!」と叫ぶんです。

 囲炉裏の向こうには炭が燃えていて、その炭火の前に兄ちゃんたちの大親分である、白髪&角刈りの爺さんが構えてる。

 こっちは戸惑いながらも・・・

 「えーと、じゃあとりあえず、ねぎま、一つもら・・・・・」
 「ウォイ、ねぎまー、いっちょー!!!!!」

 キーーーン。 声、デカ!耳が一瞬きこえなくなったよ、もう!

 面白い店だなーときょろきょろしている間に、例の、大親分の爺さんが、使い込まれた巨大なしゃもじのようなものの上に皿を乗っけて、早く取れといわんばかりに突き出します。

 なんだ!!これ、”ねぎま”?

 5センチくらいのビーフステーキ三切れの間に、大きめのクシ切りタマネギ。

 確かに、“ねぎま”だよー。(タマ)ネギが間に入ってるもん。

 ま~~それが、ちょっと焦げた肉の脂身の美味しいこと!口から鼻に駆け上る炭の香り!

 当の爺さんは、フン、てな感じでそっぽ向いてるんだけど、こっちにはその無言のメッセージがビンビン伝わってきます。

 『どうだ旨いだろう!これがオレの、“ねぎま”だ。オレにしか、出せない味だ』

 こういう料理人の人間像から生まれた自信たっぷりの料理を、バーン!とこっちの胃袋で受け止め、その気合いと意気込みと味に感動する。それが外で食べる食事の醍醐味と言うか、理想だと思うんです。そうでなければわざわざお金を払ってまで食べる意味がないと言うか・・・。

 その爺さんは、長年の職業病なのかもしれないけれど、腱鞘炎で手首にサポーターはめてました。いい店だったけど、惜しまれながら、その後は暖簾、たたんじゃってるみたいでした。

 

 どこかの会議室でどこかの誰かが提案し決定した料理を、完全にスポイルされた料理人がいくら上手に作っても、食べる私、つまんないでーす! 

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 あと、他にも、手作り豆腐とか注文したんだけど、これは美味しいらしいんだけど、食べる気がしなくて、箸、付けませんでした。ごめんなさーい。
 
 

 こんなの、どうでしょうね?

 例えば、センスと腕がよくてある程度自意識過剰ぎみの板前さんを揃えるんです。月の雫としての方向性は決めておいて、あとは全部その人たちに、料理は任せちゃうんです。もう、パンフレットに載ってる写真どおりに作らなくていいんです。
 もちろん、定番メニューがあったとしても、ソノヒト流になら作ってもいいと思いますけど。

 看板に板前さんの名前、添えてしまってもいいかもしれません。“月の雫 小川何某”とか“月の雫 馬場何某”とか・・・・。

 調理している小川何某の、馬場何某の、真剣な表情をセピアのイメージ写真にして、それぞれの店の月のマークの中に溶け込むように入れちゃいます。本人のサイン入りで!板前さんを、言わば、ちょっと、祭り上げるんです。

 後のことは・・・店の内装や接客や資金繰りや・・・・・は会社がやっちゃってあげましょうよ。板前さんも月給悪くても自分で店をだすよりもリスクがなくていいんじゃない?評判良ければ名前だって売れるんだし・・・。

 もし巷で、
 「私は断然、月の雫は、小川がいいな」
 「えーー!なんでー?馬場だよ、ダンゼン馬場何某!」
 なんてせりふが聞かれたら、しばらくは、会社、安泰じゃないかなー。

 
 料理は作り手の人格、出ますからね。優しさ、豪胆さ、細やかさ、意気込み、天才性、年季・・・。

 客にはそれこそがご馳走なんです。

 早坂

コメント (4)

 銀座駅の地下街にも、この月の雫があるのですが、ランチタイムには…ほんの少し行列ができていることもあります。

 で、私もこの手のマニュアリズムなお店は、好きではありません。なんか…チェーン系のお店だという先入観があると、「そんなネタにならない店に入ってどうする」というブレーキがかかるので。

 あ、「○○店より旨い!月の雫△△店」という看板がある月の雫だったら行きます(笑)。

>「○○店より旨い!月の雫△△店」という看板がある月の雫だったら行きます(爆爆爆爆!)

それっ!すごくよく分かります。ホントにそんなこと書いていてくれたら分かりやすい・・・それとも店同士ケンカになる?

ご存知かもしれませんが、大阪に2軒たこ焼き屋が並んでいて、看板より大きな字で「隣の店はうちの店とは何の関係もありません」(←だったかな?)って書いてあるんです。

月の雫、東京でもそうなんですか。私はてっきり、関西人が東京のマニュアルをちゃんと守ってないからこうなっているのかと思いました。

早坂さん♪
ここんとこぶっちゃけた話、残念な思いをしたことが多かったので、胸にしみいるお話でした。店のハコもいいし、スタッフの頑張りもとても伝わってくるんだけど、やっぱりまた行きたい!大事な人を連れてきたいって思うのは最終的に舌の記憶だったり、料理への意気込みがいかに感じられるかだと思いました。自分のおこづかい範疇で「あぁ、こんなにお金払うんだったら、あの新書本が3冊買えたのに・・・」って後から感じることの切なさ。(涙)店の方が笑顔で見送ってくださることの申し訳なさ。。。
こういうストレスを客に感じさせることを、ハコだけ作るオーナーさんってどう感じてるの?って聞いてみたいですね。
食通なんかじゃない一般の働く主婦の私だけど、同じ働く人間としてもがんばっていいお店にしようとされている若い現場のスタッフのことは応援したい気持ちいっぱいなのですから。

☆mint2さん

ここんとこぶっちゃけた話・・・・・・・・「ザ・シェフリンク」初めて以来、いい店にしか行ってない(^◇^)がはは!あ痛て、後ろひっくり返っちゃった。

値段的には大差はないんですよね。気合の入ったお店と、料理が腑抜けっちゃってるお店と・・・・。

だから、もう私たちは美味しいお店にしか行かないことにしましょう。がんばってシェフさんたちに聞いて、調査してまいりますので・・・・・。

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